第3章 ③不思議ブレスレットで...【尾形に寝袋あげてみた】
「2人用を買ったということは、そういうことじゃないのか」
「ちっ!違うに決まってんでしょーっ!」
和栗は尾形の顎をグイグイと押すが、セクハラの手は止まらない。
「そうじゃなくてっ!ぎゅっ!ぎゅってしてよ!」
「...可愛いこと言いやがって」
仕方なく、尾形は和栗を優しく抱きしめた。
和栗も尾形を力強く抱き返した。
「...尾形」
「ん」
「幸せ...」
「安い幸せだな」
「またそういうこと言うー」
【数日後】
「おーっす尾形ー!」
そう言って、またいつもの様に突如として現れた和栗は、マスクを付けていた。
「どっか悪いのか」
「んー、喉痛い」
尾形が家について早々、和栗はリビングのカーペットへ横になった。
「具合が悪いなら布団ひいたらどうだ」
薄いブランケット1枚かけただけの和栗を見ながら、尾形はしゃがみ込む。
「...」
和栗は怠さと喉の痛みで喋る気も起きない。
尾形は、はぁとため息を付きながら立ち上がると、他の部屋へ行ってしまった。
バサッ
すると、尾形はこの間の寝袋を和栗の上にかけた。
「体上げろ」
和栗はゆっくりと身体を起こすと、寝袋に詰め込まれた。
ファスナーもビッチリ鼻あたりまで上げられたが、その中は嬉しくてにやけた口が隠れている。
「暖かいか」
「ん」
優しい!!尾形が優しい!!
寝袋買って良かったと思った和栗なのでした。
「ところで、あの動画はどうなったんだ」
「全然伸びない」
「チッ」