第3章 ③不思議ブレスレットで...【尾形に寝袋あげてみた】
「はいっ、こんにちは!今回が初投稿となります、めいです!隣に居るのがですね、明治時代あたりの漫画から飛び出てきた尾形さんです!ワー!パチパチー!」
一眼カメラに向かって和栗が1人拍手するのを、Yシャツに軍服のズボンだけになった軽装の尾形が、魚のような目でみている。
「えー、こんな感じでいつもドライなんですけれども、今回、コチラの尾形さんにですね、初、寝袋体験をして頂こうと思います!」
和栗は横に置いてある、迷彩柄の袋に入った筒状の物を取り出した。
「広げてみてっ」
尾形はゆっくりと慎重に、構造を見ながら広げていった。
「なんだ、てっきり獣の抜け殻のようなものかと思ったが...」
「フッフッフーン。今は進化しているんですよ、羽毛ですよ、羽毛。あとは化学繊維の生地!」
「...これはなんだ」
「ファスナーですよ。こうやって、下に下ろすと開くんです」
和栗はファスナーをある程度下げると、上の生地を少しだけめくった。
「はい、どーぞ!足から入れてみてください」
「薄着になれと言ったのはこれか」
「そうですよー、外だとめっちゃ着込むけどさー、家の中だと暑いでしょ?」
尾形は素直に寝袋の中に入ると、チャックを閉めた。
「...ど、どうですか?」
「....」
「尾形さん?」
「.....」
「気に入っている!しかも落ち着いている!!」
微動だにしない尾形だが、若干頬が緩んだのを和栗は見逃さなかった。
「あったかいでしょ?いいでしょ?冬の北海道には持ってこいだよねっ!しかもこれ〜」
和栗はファスナーを開けると、尾形の前にスルリと入った。
「じゃじゃじゃじゃーんっ!2人用の寝袋なのでしたーっ!」
「...」
「寒い夜に仲いい友達とか恋人同士で入って、天体観測とかしてみてもいいですよねーっ!...ちょっ!尾形どこ触って!!...あ、以上、尾形さんとめいでしたー!ばいばーい!」
和栗はポケットに入れていたスマホから一眼の録画を停止させた。
「...もっ!もぉおお!今のとこカットですからねっ!」
体を反対に向けると、ニタリと笑う尾形がいた。
「これなら青姦しても寒くなくていいな」
「アオカン?!」