第79章 新命
母の為、産まれてくる弟か妹の為、自分にできることはないかと問う健気な姿に、幼いながらも頼もしさを感じて、信長は愛娘の成長を実感する。
(母の心配をし、大切な人の為に自分は何ができるのかと模索する…まだまだ幼いと思っていたが……子の成長は早いな)
「結華は今のままでおればよい。それが母上に安心をもたらすのだ。赤子が産まれたら、たくさん構ってやればよい」
「っ…はいっ!父上」
ニッコリと微笑む、結華の笑顔は最高に眩しかった。
純粋で 素直で ひたむきで この上なく愛おしい存在
(結華…お前が産まれた時、俺は本当に嬉しかったのだ。
産まれたばかりのお前をこの腕に抱いた瞬間、俺の世界は広がった。
お前は、何にも代え難い俺の宝だ。子が何人産まれようとも、それは変わらぬ。
お前の笑顔を守る為ならば、どんなことでもしよう)
赤子が産まれれば、結華も今までどおりでいられないかもしれない。
産まれてくる子が男であっても女であっても、結華を取り巻く環境は少なからず変わるだろう。
だが……何があろうと俺が守ってやる。
朱里も結華も、産まれてくる子も………俺のかけがえのない宝だから………