第76章 優しい嘘
朱里を腕の中に抱いたまま、寝台の上に仰向けに寝転がると、夜着の裾を大胆に開いて、自身の腰の上を跨がせた。
「っ…えっ……やっ、あっ…」
「さぁ…俺の全てを暴いてみせよ。俺の強さも弱さも、全部曝け出して…全部愛してくれ」
「っ…信長様っ…」
請い願うように下から熱っぽく見上げれば、朱里の顔がさぁっと赤く染まる。
その愛らしい反応に、胸の鼓動は忙しなく早鐘を打ち、重なり合った腰の辺りが、かぁっと熱くなる。
(俺は……貴様となら、どこまででも堕ちられる)
「んっ…信長様っ…好きです」
ーちゅっ…
額に、軽く触れるだけの小さな口づけ
「っ…愛しています」
ーちゅっ ちゅっ…
目尻に、頬に、可愛らしい唇が滑り降りる
「どんな貴方も…大好き」
ーっちゅうううぅ……
熱い唇同士が重なり合って、互いに深く、強く貪り合う。
どちらからともなく、舌を絡めながら、角度を変えて何度も重ね合わせる。
言葉に出さずとも『愛してる』と互いに伝え合うように、口づけは次第に深くなっていった。
吐息まで貪るような口づけに、心も身体も満たされていく。
「っ…朱里っ…」
「んっ…あっ…信長さま…」
互いに名を呼び合って唇が離れる僅かな瞬間さえも惜しい。
襟元から手を忍ばせて、身体の線をなぞるように撫で下ろせば、朱里は火照った身体をピクリと震わせる。
少しの刺激にも感じやすいその身体が愛らしくて、触れるたびに俺自身も熱くなる。
しっとりと吸い付くような肌の感触が堪らず、もっと感じたくて…更に奥へと手を伸ばしていった。
このまま溶け合って、一つになってしまいたい、と切に願うほどに朱里が愛おしかった。
「朱里…貴様にだけだ、俺が全てを見せるのは。愛してる…俺の全てを受け止めよ」
「信長様っ…全部、見せて下さい…私だけに…」
深く身体を重ねて、互いの熱を確かめるように強く抱き締め合うと、じわりと奥から蕩けていく心地がした。
心も身体も曝け出し、互いの発する熱に呑み込まれるように夢中になって求め合う夜は、『朝が来なければよいのに』と願うほどに甘美なものだった。