第67章 秘密の宴
情事の後の、気怠くも心地好い身体を寝台に預けて、腕の中で小さく身体を丸める朱里の髪を梳く。
広い寝台の、端の方に二人して身を寄せ合うようにして横になっているのは、敷布がグショグショに濡れてしまったからであって……朱里が恥ずかしそうにそこをチラチラと見るのが、また悩ましい。
「あのっ、信長様…もうお昼ですよ?」
「ん?あぁ…そのようだな」
「っ…ごめんなさい、私のせいで…ご政務の時間が…」
朝一番に私を迎えに来て、天主に戻ってから今まで、濃密に交わっていて…気が付けばもう昼を回っていた。
昼餉の刻限も遠に過ぎているはずだが、皆、気を遣ってくれているのか、天主には誰も来ない。
「信長様…もしかして朝餉も食べていらっしゃらないんじゃ…」
「ん…だが、さほど腹は空いてないから別に構わん。
貴様をたらふく喰ったゆえな…くくっ」
「や、やだっ…もう…」
頬を朱に染めて、俺の胸に顔を埋める朱里が可愛くて…ようやく鎮まったばかりの欲が、またもや鎌首を擡げようとするから…困ったものだ。
だが、一つ聞いておかねばならないことがある。
「朱里、貴様、本当にどこも触られていなかったのだろうな?」
「えっ?ええっ?」
「俺に隠し事はなしだぞ?正直に言わねば、今日は閨から出さん」
「ええっ?んっ、えっと…そのっ…」
「はぁ……やはり、何かあったのか?」
「…怒らない?」
「……内容による…が一応、その努力はしてやる」
「っ…あの…その…おでこに口づけを、その、されて…」
消え入りそうな小さな声で告げた途端、信長様がガバッと身体を起こすので、慌てた。
「の、信長様?あ、あの、でも別に、政宗も深い意味があって口づけた訳じゃなくて…ただ揶揄われただけで……あのっ、だから怒らないで?」
口づけ、と聞いただけで腹の底から煮え滾るような怒りを感じてしまったが、必死で俺の袖に縋る朱里を見て、少し落ち着きを取り戻した。
だが、このままにはしておけん。
ーチュッ チュウウゥ!
「っ…えっ、あっ…」
両手で頬を包み込み、朱里の額に思いっきり吸い付いた。
跡が残るぐらい…かなり強めに…
「んっ…信長様?」
「………消毒だ。これで許してやる。だが…分かっているとは思うが…次はないぞ?」
少し低めに脅すと、青い顔をしてコクコク頷いている。
全く…可愛すぎる