第66章 信長の秘密
「くくっ…褥へ行きたいと誘っているのか?
貴様を愛するのに、時間も場所も関係ないが……貴様が褥の上で啼きたいと言うのなら、そうしてやる」
「あっ…やっ…そういうつもりじゃ…」
私の反論は、聞こえていないのか、或いは聞く気がないのか、信長様はもう既に私の膝裏に手を入れていて……軽々と抱き上げられてしまった。
筋肉質な裸の胸板が頬に触れて、ドキドキと胸がうるさく騒ぐ。
それは、信長様の心の臓の音なのか、私の心の臓の音なのか、どちらとも判別できないぐらいになっていた。
胸の鼓動を聞きながら、そっと見上げると、口元に緩く笑みを浮かべる男らしいお顔があって……
「んっ…信長様…大好き」
思わず、心のままに告げてしまった。
「っ……貴様っ…」
信長様の顔がほんのり赤くなったような気がして、目を逸らせずにじっと見つめていると、
「くっ…そんな目で見るでない。貴様っ、無自覚にも程があるぞ…望み通り、褥で抱いてやろうと思ったが……気が変わった。
今ここで俺に寄越せっ……貴様の全てを」
「ええっ、やっ、そんな…んんっ、っ、はぁ…」
噛み付くように荒々しく口づけられて、私の余裕は呆気なく奪われる。
獲物に喰らいつく獣のような、荒々しい口づけは、これから始まる行為の激しさを予告するかのように私の身体を震わせる。
(んっ…口づけだけで、何もかも蕩けてしまいそう……。
まだ日も高くて日差しが眩しいぐらいで恥ずかしいけど……信長様が夜だと言うなら……それでもいい。
貴方となら、昼も夜もなく、この愛に溺れていたいから……)
信長様は、私を抱えたまま庭から廊下へと上がると、すぐ近くにあった部屋へ入り、畳の上で私を組み敷く。
身体に掛かる信長様の重みを心地良く感じながら、私は、与えられる激しい熱情に身を委ねていった。