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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第64章 夢の中で


まだ薄暗く、しんっと静まり返った寝所の、広い寝台の上で、信長は不意に意識を浮上させる。

冬に近づきつつある季節特有の、澄んだ空気が少し肌寒く感じられて寝返りを打つと、ギシっと寝台の軋む音が静かな部屋の中にやたらに大きく響く。

『……んっ………』

隣に眠る朱里の口から、少し鼻にかかったような甘ったるい声が漏れる。

(っ…起こしてしまったか……?)

身体は横になったまま頭だけを少し持ち上げて、愛しい女の顔を覗き込むと、その顔は、口元には穏やかな笑みを讃えてはいるが、目蓋は閉じられたままだった。

(ふっ…よく眠っておるな。昨夜もまた無理をさせたか……)

飽きることなく何度も睦み合った身体はまだ熱く火照っている。
京から大坂へ帰還して以来、離れていた時間を埋めるかのように、毎晩のように朱里を抱いている。
一晩に二度、三度、と続けざまに欲を放っても、芯まで満たされた感じがしない。
交わるたびに、もっともっと、と狂おしいほどの渇望に駆られる。

それはまるで、己の生きている証を愛する女の中に残したい、という男の本能の現れのようでもあった。



『ん…信長さま…』

名を呼ぶ声を聞いて、はっと顔を上げると、朱里はなおも穏やかな寝息を立てて眠っているようだ。

「ふっ…寝言か……」


欲を穿たれて妖艶に啼いていた姿とは別人のように、穏やかで満たされた顔をしている。
愛らしい寝顔だが……それすらも、ぐずぐずに蕩けされてしまいたいと思ってしまう自分は、どれほどに欲深いのか…。


『んっ…信長さまっ…もっとっ…』

「っ……」
(くっ……此奴、どんな夢を見ているのか……)

意味深な寝言と、半開きになった艶やかな唇に、グッと欲を煽られる。
己を強請る甘い声は昨夜も何度も聞いたはずだが、何度聞いても心が乱れる。
下半身が熱く疼き出し、腰が一気にずしりと重くなった。

(このような甘い声で啼くほどに、貴様は夢の中でも俺に抱かれて善がっているのか…?)


今触れれば、起こしてしまうだろうか

だが…触れたい 

このまま、もう一度、滅茶苦茶に抱いてしまいたい




胸の内で、己の感情と葛藤しながら、眠る朱里の身体に、俺はそっと手を伸ばしていった。



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