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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第61章 試練の時


光秀さんと政宗が西国で起きた謀叛の鎮圧のために出陣して、今日で三日目

昨日には、兵力で優っているはずの織田軍が予想外に苦戦しているという知らせが届いていた。

『信長様の不在で兵の士気が落ちている』

政宗からの文には、そう書いてあって……それを聞いてもどうすることもできない歯痒さに、身を引き裂かれるような思いだった。

(誰もが皆、信長様を必要としてる。私だって…信長様がいらっしゃらないことがこんなにも不安だなんて……)




「っ…朱里っ!」

信長様のことを想い、また涙が溢れそうになっていたその時、バタバタと勢いよく廊下を走る音が聞こえてきたかと思うと、その勢いのまま乱暴に自室の襖が開かれた。

「あっ…家康…?…どうしたの?」

はぁはぁと忙しなく息をする姿は、いつもの家康らしくない。
なにか…あったんだろうか……

「くっ…はぁ…朱里、敵襲だ」

「……………えっ?なに……?」

「…敵が、迫ってる。この城が…大坂城が戦になる」

「っ…戦…この城が敵に攻められるって言うの…うそ…何で…」

「くっ…西国での謀叛で兵の多くが出陣している隙を突かれた。この城は戦には向いてない。大坂城は、信長様が天下布武の総仕上げとして築城された城だ…この城で籠城するなんてことは、そもそも想定されてない」

「…家康っ…」

「とにかく不利でもなんでもやるしかないよ…朱里、あんたも覚悟して」

家康の、追い詰められたような真剣な表情に、否応なく緊張感が高まってくる。

(この城が敵に攻められる…信長様の大望を叶えるための城が…。
…守らなくては…あの方の夢を…信長様の帰る場所を…)

「っ…家康っ、私も…皆と一緒に戦う!この城を、家臣達を、信長様の大切なものを…守りたいから…」

「朱里……」

「千代、侍女達と籠城の準備をします。蔵から米を出して、女中達に急いで炊くように命じて。握り飯を作れるだけ作ります。湯もたくさん沸かしてね。
それから、負傷した兵達の手当てを城内で出来るよう、庭や広間を開放するから、襖や障子は、傷付かないように片付けておいてね。
家康、薬や包帯の用意をお願い出来る?
後方での救護の指揮は私がするから、家康は三成くんと一緒に、戦の指揮をお願いします」

思いつくままに次々に指示をする私を、家康は呆気に取られた様子で見ている。




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