第59章 新しき城〜魔王の欲しいもの
「永遠の命などない、この俺の命さえも、いつかは終わりが来る。この世に終わらぬものなどない、とそう思っていたが……
貴様への愛しさだけは、永遠に変わらぬ。たとえこの命が尽きる日が来ようとも、貴様を愛しく思うこの気持ちだけは決して終わらぬものだ。
朱里、俺は…この世でも、あの世でも、来世でさえも、貴様の全てが欲しい」
「っ…あっ…」
感情の溢れるままに紡がれた言葉は、甘くて切なくて……私の心をひどく掻き乱すものだった。
(私も、信長様の全てが欲しい。過去も、今この瞬間も、貴方の未来でさえも、全部欲しい。
貴方は私の一番だから………私も貴方の一番になりたいの)
「信長様…来年も一緒に星を見ましょう。
来年も再来年も、そのまた次の年も……私は貴方と一緒に、星が降るこの空を見たいです…」
向き合って目を合わせて思いの丈を伝えると、溢れる感情のままに、その逞しい胸元に顔を埋める。
「くっ…朱里っ…」
「永遠の命なんてなくてもいい…貴方と一緒に生きる、その瞬間が私には何よりも大切だから……」
夜空には大小無数の星が瞬いており、その空の一点から放射線状に数え切れないぐらい沢山の星が降ってくる。
一晩でこんなにも星が見れる夜も珍しく、その夜、私達は寄り添い合って、飽きることなくいつまでも降る星を眺めていた。
願わくば……この命が尽きる時は、貴方と一緒の時がいい。
貴方と同じものを見て、笑ったり、泣いたり、怒ったり……楽しいことも悲しいことも二人で共有し合って……共に過ごす時間が、かけがえのないものになるように……
この新しい地で、これからも、私は貴方と共に生きていきたいから。