第55章 初恋の代償
「失礼致します、御館様。夕餉の御膳をお持ち致しました」
襖の向こうから掛かる女中さんの声に、心の臓が思いっきり跳ね上がる。
(ひぃ…ど、どうしよう!?)
焦る私を嘲笑うかのように、信長様は身体を離してくれない。
もちろん、モノはしっかり私のナカに沈めたままで……
(いやっ…早く抜いてっ!)
涙目で訴える私を無視して、挿入したまま身体を起こした信長様は、情事の最中とは思えぬような至極落ち着いた声で、襖の向こうに鷹揚に声をかける。
「……膳はそこに置いておけ、下がってよい」
「父上〜、入ってもいいですか?」
(………!?!?っ…結華っ??)
襖の向こうから唐突に聞こえてきた無邪気な娘の声に、今度こそ完全に気が動転してしまい、縋るように信長様に手を伸ばす。
「くっ………」
流石の信長様も動揺しているのか、目が泳いでいる。
(珍しい…焦ってる信長様…)
滅多に見られない姿に、キュンっとしてしまう……が、そんな場合ではなかった!
慌てて引き抜かれたモノがずるっと膣内から出ていくと、ドロリと白濁が床に流れ落ちてしまい、焦りを増長する。
(ひいぃ…だめだめ…)
「父上??」
「っ……女中どもは下がってよい…結華は…その場で暫し待て」
「えぇ〜、なんで??」
「っ……今、少し…散らかっておるゆえ…」
素早く着物の裾を直し身支度を整えながら、苦し紛れの言い訳を吐く信長様が可愛すぎて、思わず顔が緩む。
「父上!結華も、お片づけのお手伝いします!」
「っ…待てっ!くっ…父の大事なものゆえ、結華は手伝わなくてよい…すぐ終わるっ!」
焦りからか、少し上擦った声音になっている信長様を可愛らしく思いながらも、私は乱れた着物を直すために隣の部屋へと移る。
私が隣の部屋の襖を閉めたのを確認してから、信長様は結華に部屋に入るよう声をかける。
「父上っ!」
「……すまん、待たせたな」
駆け寄る結華を抱き留めた信長は、すぐさま高く抱き上げる。
信長の首に嬉しそうにぎゅっと抱きついた結華は、深く息を吸い込んで……
「父上??父上から母上の香りが致します…」
「うっ…(香が移ったか…)」
「母上は?いらっしゃらないのですか?」
そういうと室内をキョロキョロと見回す。