第47章 祭りの夜
「っ…あ〜、朱里?……大丈夫か?」
翌朝、寝不足と身体の怠さにぼんやりとする私に、秀吉さんが気遣うように話しかけてくれる。
信長様に聞こえないように、こっそりと話かける秀吉さんの顔はどことなく赤い。
(あぁ…秀吉さんにまで気を遣わせちゃって…恥ずかしい)
昨夜の信長様は、宣言どおり、本当に私を少しも寝かせてくれなかった。
達しても達しても、何度でも私を求めてくれるのは嬉しかったし、私も久しぶりに全身で信長様を感じられて…幸せな時間だった。
その信長様は、私と同じくほとんど寝ていないはずなのに、清々しいぐらいスッキリとした顔で、上座で家臣の方たちの挨拶を受けておられる。
私と目が合うと、口角を上げてニヤリと笑む、その悪戯な子供のような笑顔に、ドキドキと胸が煩く騒いで落ち着かない。
あぁ、私はやっぱり信長様が好きなんだ、と自覚する。
閨での艶めかしい『男』の顔
結華をあやす優しい『父』の顔
悪戯な『子ども』のような顔
貴方の全部が大好き。
貴方のどんな顔も見逃したくない、と思う。
これから先も、ずっとずっと、貴方のお傍にいたいと、私が願うのは、ただそれだけだった。