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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第47章 祭りの夜


翌日昼過ぎには安土を発ち、長浜へとのんびりと馬を歩ませる。
朱里と並んで馬を進ませ、秀吉がその後ろに続いているが、彼奴のことだ、おそらく周囲には忍びの護衛を複数配置しているのだろう。

馬に乗るのも久しぶりな朱里は、最初こそ若干表情が固かったが、道を進むにつれて徐々に愉しげな笑顔を見せるようになっていた。

(城門で、乳母の腕に抱かれた結華と別れる際にはどうなることかと思ったが………大事なさそうだな。結華は……どうしておるやら…)

「……信長様、結華は大丈夫でしょうか…泣いておらねばいいのですが…」

出立の際、幼いながらも母と離れることを察したのか、朱里が傍を離れようとした時に結華が大泣きしてしまい、朱里も離れるに離れられず、一悶着あったのだった。

「…まぁ…泣いてはいるかもしれぬが…乳母とは初めてという訳でもなし…じきに慣れるであろう。母親以外の者に慣れさせることも子供にとっては必要なことだ」

「………そうですね…」

少し寂しそうな顔をする朱里を見て、『あぁ、やはり母親なのだなぁ』と感心すると同時に、少し複雑な気持ちにもなる。

(母としての顔もよいが、やはりいつまでも『女』として見ていたい、と思うのは、男の勝手な我儘であろうか……)

夏の盛りのこの時期、日中の日射しは強く、琵琶の湖面も太陽の光を反射してキラキラと輝いている。
結華を産んでから今日まで、まともに外に出ていなかった朱里にはこの日射しは少しきついようで、先程から額に浮かぶ汗を何度も拭っている。

「朱里、少し休憩するか?長浜へは夕刻までに着けばよい。さほど急がずとも構わん」

「っ…でも、早めに着いた方が…。信長様、城下の様子など、ご視察なさりたいでしょう?」

「ふっ…城下の視察か、それはどちらでも構わん。秀吉が上手く治めておる筈だからな…心配はしておらん」

チラッと後ろを見ながら言ってやると……案の定、秀吉が目を潤ませて感激の表情を見せている。

(はぁ……相変わらず分かりやすいほど素直な奴だな)


俺と秀吉に積極的に勧められ、やはり久しぶりの外出にも疲れていたのであろう朱里は、木陰で一息つくと少しホッとした表情を見せる。

(…少し無理をさせているのだろうか…外出は日頃の子育ての良い息抜きにもなるかと思ったのだが…疲れさせては元も子もないな)
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