第39章 紫陽花の寺
「っ…あっ…」
顔を上げると、目の前には、緩く勃ち上がった信長様の一物。
いつもは天を仰ぐばかりに勃ち上がったガチガチの状態でしか見たことはなく、この状態は初めてで…思わずまじまじと凝視してしまった。
「…くくっ…そんなに見つめて…欲しいのか?」
「…やだ…いじわるっ。拭きますよっ!」
そうは言ったものの、いきなり一物を手にする勇気はなく…跪いて足の先から太腿の外側、内側へと手拭いをゆっくり滑らせる。
その動きが逆に信長様を焦らしてしまったようで…頭の上から信長様の抑えたような吐息が聞こえてきた。
「っ…ふ…朱里、はやく…」
悩ましく請う声に、脚の間から上目遣いで見遣ると、熱を帯びた深紅の瞳が余裕なく揺れていた。
その熱い瞳から目が離せないまま、呪術にかかった者のようにゆっくりと、一物に触れる。
触れた瞬間、それは意思を持った生き物の如く、ビクンッと震えて先から歓喜の涙を溢した。
「っ…くっ…はぁ…」
根元を軽く握り、手拭いで竿の部分を優しく拭っていく……が、拭うたびに先から露が溢れて、ニチャニチャと粘ついた音を立てる。
拭くほどに汚れていく、その行為に眩暈がするほどの興奮を覚える。
(あぁ…どうしよう…早く綺麗に拭かなくちゃ…信長様のお身体が冷えてしまう…)
一向に綺麗にならないことに焦りを覚えながらも、手の中で徐々に硬く膨らみ出した一物が愛おしくて…知らず知らずの内に根元を握る指にきゅっと力を入れていた。
「うっ…くっう…はっ…朱里、口で…」
(えっ?口で?…ここでするの?やっ…だって、いつお寺の方が呼びに来られるかも分からないのに…どうしよう)
戸惑いながら信長様の様子を窺うと、堪えるように目を閉じて眉間に皺を深く刻んでおられた。
雨に濡れた髪が顔に落ち掛かって目元を隠すのが不快なのか、無造作に髪をかき上げる。その仕草が男の色気を醸し出していて、堪らなく色っぽかった。見ているだけで鼓動が早くなり、頬が熱を持ったかのように熱くなってくるのを感じる。
(身体の奥が疼いて熱い……我慢できない…信長様も…そうなの?)
余裕のない様子の信長様を見て、愛しさが込み上げて……目の前の昂りにそっと唇を近づけていった。