第6章 初めてのご奉仕
湯治から戻った途端、信長様はまた政務に追われているようで、朝は私がまだ眠っている時間に起き出して政務につき、夜は待ちくたびれた私が寝入ってしまった後に戻って来ているようだった。
朝目覚めると隣の褥が冷たくなっていて、それが何だかとても寂しく信長様の温かさが恋しくなる。
(またすれ違いになっちゃった。もう何日お顔を見てないんだろう)
(ほとんど寝てらっしゃらないみたいだけど、大丈夫かな)
天主で物思いに耽っていると、突然襖が開いて信長様が入ってきた。私を見て少し驚いたような顔になる。
「信長様!お帰りなさいませ!」
「…貴様、まだ起きておったのか?」
(……ちょっと痩せられたみたい。それに…気のせいかな、顔色もよくないみたいな……」
「…信長様、だいぶお疲れですか??お顔の色がよくないです」
「大丈夫だ。俺は普段からあまり眠らん。貴様の方こそ、先に1人で休めと言ったであろう?俺を待つ必要はない」
(分かってるけど…お顔が見たかったんだもん)
信長様の突き放すような言い方に不満を感じた私は、無意識に少し頬を膨らませた不満げな顔をしていたようで…
「っ、貴様、何の真似だ?そのような愛らしい顔をしおって」
(え?)
私の頬を両手でムニュっとつまみ、鼻先が近づくほど顔を寄せて、意地悪な笑顔で告げる。
「そのような愛らしい顔を見せられたら、貴様を虐めたくなる」
「っ、あっ、信長さま…)
ぱくっと唇を食まれ、僅かに開いた唇の間に素早く舌先を差し込まれる。舌で歯列の裏側をざらっとなぞられて、背中に淡い痺れが沸き起こる。舌を絡めとられて、チュッチュッと吸い上げられると身体の力が抜けてきて立っていられなくなった。
「っ、ふあぁ、ん、はぁ」
唇を重ねたまま、信長様の手が着物の裾を割ろうとする。
濃厚な口づけが与える快感に身を委ねていた私は、信長様の手が内腿をさらりと撫で上げた瞬間、ハッと我にかえる。