第29章 決意
安土に戻って数日が経った頃、此度の上洛と小田原征伐の顛末を聞きつけた、尾張・岐阜の家老達が信長様に謁見を求めて、再び安土にやって来ていた。
謁見の目的は、信長様と私の祝言を白紙に戻すこと……
(信長様は、誰にも反対させないと言って下さったけど…古くからのご家来衆を無下にもできない。
難しいお立場だわ………)
(………信長様の足枷にはなりたくない。
私にできること…何かないだろうか…)
信長様はこれまでもいつだって私を守って下さってきた。
どんなに困難な状況でも、涼しい顔で『大丈夫だ』と言って、私を安心させてくれる。
私も……ただお傍にいるだけじゃなくて、信長様のために何かしたい。
女の私にできることなんてたかが知れているかもしれないけど……それでも……守られているだけなんて嫌だ。