第27章 再会
城の奥に軟禁される日々が続き、外の状況も分からず、何も出来ない自分自身に苛立ちが募る。
あれから何度か部屋から出られないかと試みたが、部屋の周りには見張りの家臣が何人も控えており、女の私一人では到底抜け出せるものではなかった。
しかも数日前から城の中が慌ただしい様子で、武装した家臣が行き来しているのを何度か見かけた。
何か不測の事態が起こっているのか、兄も私に構っていられないらしく、ここ数日は身の危険を感じずに済み、助かっていたが…
まるで戦が始まるかのような雰囲気……
(信長様はご無事だろうか…。
半蔵殿は家康に伝えると言って下さったけど……間に合っただろうか……。
私にも何か出来ることないかな…助けを待ってるだけなんてっ)
「……姫様。」
物思いに耽っていたところ、急に声をかけられて思わずびくっとする。
「半蔵殿っ!」
音も無く天井板が開き、忍び装束の半蔵殿が顔を出して、するすると縄梯子を降ろしていた。
「姫様、お待たせして申し訳ございませぬ。
……今から城を抜け出します。
このようなところから脱出するのは、姫様には難しいかもしれませんが………上がれまするか?」
「っ、はいっ!大丈夫です!」
心配そうな表情の半蔵殿をよそに、すぐに打掛を脱いで小袖一つになり、手近にあった腰紐で袖もたすき掛けにして、迷うことなく縄梯子に足を掛けた。
難なく縄梯子を上りきった私を、呆気に取られたように見ていた半蔵殿は、クスッと小さな笑い声をあげた。
「………??」
「くっ、いや、ご無礼を。
さすがは信長様ご寵愛の姫様ですな。
実に面白き……いや、頼もしき姫様ですな。
………さあ、参りましょうか」