第108章 離れていても
互いに顔を見合わせたまま、どちらからともなく口元が緩み、堪えきれなくなって笑いが溢れる。
「ふふ…もぅ、信長様ったら…本当に隠し事がおありなのですか?」
「くくっ…貴様こそ、どうなのだ?俺に隠し事など…まことあるのか?」
再度互いに問いながらも、問い詰める言葉とは裏腹に二人は笑い合い、ぎゅっと抱き締め合った。
朝の光が射し込み、次第に明け染める部屋の中で、互いの存在を、色褪せぬ愛を確かめ合う。
秘め事などどうでもいい…ただ信長様が愛おしい。
秘め事などどうでもいい…ただ朱里が愛おしい。
離れていても互いを想い、互いを欲し、一人情欲に溺れた夜は、二人だけの秘密。