第106章 収穫祭の長き夜
熱の籠った声音で宣言され、深く身体が重なる。
身を貫く信長の熱に翻弄されて、息をするのも忘れるほどの歓喜の波に溺れる。
焦らされて物欲しさに耐えていた身体は、一気に与えられた激しすぎる熱についていけずに身悶えていた。
「んんっ、あ、あぁ、信長さまっ…」
「くっ、うっ…」
抑えていた欲を吐き出すかのように互いに激しく求め合いながら、その身は夜闇に溶けていく。
月も中天にかかり、既にだいぶ夜も更けた時刻になっていたが、二人は時の経過をも忘れるほどに求め合い、激しく熱を交わす。
信長の昂りに何度も奥まで深く貫かれ、焦らされて敏感になり過ぎた朱里の身体はすぐに達してしまったが、宣言どおり信長は朝まで朱里を抱き続け、休む間も与えてくれなかった。
やがて空が白み始め、障子越しに蒼白い朝の光が射し込む頃になってようやく解放された時、朱里は身も心もドロドロに蕩け切っていて手足の先さえも動かせないほどだった。
「んっ、あっ…ふ…」
とろんっと焦点の合わない蕩けた瞳を彷徨わせる朱里に、信長は目蓋の上にチュッと口付ける。
情事の余韻の残る身体は軽い口付けにすら感じるのか、信長の唇が触れた瞬間、朱里はピクリと目蓋を震わせて小さな喘ぎを漏らした。
(愛らしいな。こうしているとまた抱きたくなる…っ、いかんな、これは…全く歯止めが効かん)
くったりと褥に横たわる朱里へ自然と手が伸びそうになって慌ててぐっと堪えた。
雪のように白い裸体には無数の赤い証が一面咲き誇る華のように芽吹いていた。中には柔い噛み跡なども残っていて、色白の朱里の肌に似つかわしくないその跡に、信長は今になって何とも言えない後ろめたさを感じるのだった。
「朱里…」
「ん…のぶながさま…?」
一晩中甘く啼かせたせいで、朱里の声はすっかり細く枯れてしまっていて弱々しく信長の名を呼んだ。
掠れた声は痛々しかったが、そんな儚げな姿にもますます愛おしさが募り、震える唇をやんわりと塞ぐ。
「んっ、ふ、あっ…ん…」
「朱里…まだ足りない。俺は貴様のことになると、どこまでも貪欲になるらしい。朝まで抱いてもまだ足りぬ。もっと貴様が欲しいっ…貴様は俺の唯一無二の女だ。誰でもない、俺だけを見ていろ」
「んぁ、ああぁっ…」