第104章 魅惑の果実
久しぶりの交わりゆえか、いつもより多く出た自覚はある。
そんなものを飲めと強要するつもりは毛頭なかったのだが、朱里は頑なに口を開こうとはしない。
(こやつは案外頑固なところがあるからな…)
どうしたものかと信長が思案していると……
「うっ…くっ…んっ…ごくっ…んっ…」
小さく喉を鳴らす音にハッとして朱里を見ると、口元を押さえたまま放心したようにその場にぺたりと座り込んでいた。
「なっ…全部、飲んだのか?」
「……っ、はい」
「馬鹿な…あんなもの、吐き出せばよかろうに…気持ち悪いだろう?」
(自分で言うのもなんだが、決して美味くはないはずだ…飲んだことはないが)
「だって…信長様のものだから…全部欲しい。私は信長様の全てが愛おしいのです。気持ち悪くなんかないです」
「っ……」
ニッコリと花が綻ぶように笑う朱里に、信長はひどく胸が惹きつけられる思いがした。
今宵は朱里から奉仕すると言われて嬉しかった反面、些かの罪悪感のような後ろめたさを感じたのも事実だった。
華奢な朱里に無理をさせたくない、愛されるより愛してやりたいという気持ちが強かったからだ。
(無条件に愛される…それがこんなにも心地が良いことだとは…)
「…あの、信長様?その…気持ちよかったですか?」
黙ってしまった信長を心配そうに見つめながら、朱里は遠慮がちに尋ねる。
自らすると申し出たのはいいが、自分の拙い奉仕で信長を満足させられたかどうか甚だ自信がなかったのだ。
「ん?あぁ…よかったぞ。さあ、では次は俺の番だな」
「えっ?」
「ふっ…俺が貴様に奉仕をする番だと言っているのだ」
「ええっ…そんな…ひゃっ…」
グイッと腕を引かれて、気が付いたら押し倒されていた。
私の上に馬乗りになった信長様は、不敵な笑みを浮かべている。
「朝までたっぷり可愛がってやろう」
「っ……」
(朝まで…だなんて、嬉しいけど今宵は…)
「っ…だ、ダメっ!ダメです、信長様っ!」
覆い被さってくる信長様の身体を、力一杯押し返した。
「は?貴様、今更何を言っている?こんなになっておきながらダメなわけないだろうが」
ーぐちゅっ…
呆れたように言いながら、信長様の手が裾を割って足の間に差し込まれる。
割れ目の上を軽く撫でられただけで、ぐちゅりと卑猥な水音が鳴った。