第3章 本当の気持ち
天主に注がれる朝の光の眩しさでゆっくりと覚醒する。
(ん…もう朝か)
(朝日が昇るまで目覚めぬなど、いつ以来か…)
自身の隣で、すやすやと穏やかな寝息を立てる朱里を見て昨夜の記憶がよみがえる。
朱里が意識を手放した後、腕の中に閉じ込めて、艶やかな髪を梳きながら満たされた気持ちになったところまでは覚えている。
(いつの間に寝入ってしまったのか…)
女と朝まで褥を共にするなど初めてのことだった。
いつもは情事が終わればそれまで。
朝まで一人で眠れぬ夜を過ごすのが常だった。
相手も、手っ取り早く欲を出すためだけだから、後腐れのない、手慣れた女ばかりだった。
夜伽を命じればどんな女も俺に身体を差し出した。
だが…朱里は違う。
生娘だと分かっていながら抱いた。
朱里の全てを奪いたくて堪らなかった。心も身体も。
抗われれば抗われるほど、欲しくて堪らなくなった。
(朱里は俺を…好きだと言った)
(俺は…どうなのだろう…分からない)
(だが…この満たされた気持ちは何なのだ…)
(このような気持ちは初めてだ)
(俺は朱里を…好きなのだろうか…)