第102章 薫風に泳ぐ
「ゔっ…ぐっ…」
腰を引くとナカの襞が強く吸い付いてくるのがひどく気持ち良くて、何かに憑かれたように夢中で腰を前後させていると、二人が繋がった部分はいつの間にか蜜が泡立つほどに濡れそぼっていた。
朱里のナカはこの上なく熱く、きゅうきゅうと収縮を繰り返していて、絶頂が近いのが分かる。
「んっ…朱里?」
信長は、塞いでいた唇を離して気遣わしげに呼びかける。
「っ…あ…信長さまぁ…も、やっ…イッちゃ…あ、ん…」
イヤイヤするように髪を振り乱し、トロンっと蕩けた女の顔で見上げてくる朱里に、信長もまた一気に下半身に熱が集中して昂りが抑えられなくなる。
(っ…くっ…熱いっ…もぅ…出るっ…)
急速に昂る吐精感に突き動かされ、抉るように奥を突く。
亀頭の先が奥の深いところにゴツゴツと当たると、朱里は身体を震わせて悲鳴のような嬌声を上げる。
「ひっ、うっ…や、だめぇ…激し…壊れちゃ…あっ、あっ…い、イく、イっちゃ…ぅ…」
「ゔぁ、あぁ…イけっ、朱里っ…俺も、もぅ…出すぞっ…」
ービュクッ!ビュルビュルッ…
稲妻のような快感が一気に背を駆け上がり、頭の中で何かがパチンと爆ぜるような、言い様のない解放感を味わいながら、信長は朱里の奥深くへと己の生の証を注ぎ込んだ。
(何度抱いても何度でも欲しくなる。二人も子ができて親となっても、朱里のことは子らの母親ではなく女としてしか見れん。学問所で子供達に手習いを教える朱里は、慈愛に満ちた穢れのない母の顔をしていた。そんな清純な顔を滅茶苦茶に乱して、淫らに汚してしまいたいと思うなど…俺はなんと欲深いのだろうか…)
「ん…信長さま…大好き…」
小さな掠れた声で囁かれた愛の言葉にハッとして、吐精した余韻そのままに腕の中に抱き竦めていた朱里の顔を覗き込む。
達したばかりのトロンと蕩けた瞳で俺を見つめていた朱里は、目が合うとふにゃりと子供のように愛らしく微笑んだ。
(っ…先程まであれほどに艶めかしかったのに、今はこんなにも子供のように笑うのか。全く…飽きぬ女だ、貴様は)
愛おしさに突き動かされるように、深く腕の中に捕らえて強く強く抱き締める。
「っ…あっ…信長さま?」
「……愛してる」
「っん…」
「朱里…愛してる」
「んっ…」
何度伝えても足りない。
言葉でも身体でも…何度伝えても貴様への愛は尽きない。