第99章 新たな出逢い
羞恥に悶える朱里を満足げに見下ろしながらも、信長の心はいまだ冷静だった。
(恥じらう朱里は愛らしいが、これぐらいでは仕置きにならん。さりとて痛みを与えるようなものは好ましくないしな…さて、どうしてやろうか…)
思案しながら何気なく視線を巡らした信長の目線の先に、朱里がいつも使っている鏡台があった。
鏡台には今は白い布が掛けられていて鏡面は見えないようになっているが、信長が京の職人に作らせたその鏡台は大きな鏡が付いた立派なものだった。
朱里はこの鏡台で朝夕、髪を梳き、着物を整えたりしている。
鏡台だから化粧も当然そこでするのだが、信長に化粧をしているところを見られるのは恥ずかしいようだった。
素顔でも化粧をした顔でもそれほど変わらず美しいと思うのだが、女の気持ちはどうも複雑らしい。
(いつもこっそりと化粧しているのが可愛らしくて堪らないのだが…まぁ、それはそれとして、鏡か……)
鏡に映る朱里もまた、美しい。
愛らしく乱れるその姿を、鏡越しに見てみたい。
新しい遊びを思いついた子供のように、信長は口元に愉しげな笑みを浮かべると、徐に朱里の背中に腕を回して、その華奢な身体を抱き起こす。
「信長さま…?」
急に抱き起こされて不安げな声を上げる朱里を、信長は衣を寝台に残して裸のまま抱き上げると、そのまま寝台を降りた。
「やっ…やだ…信長さま?何を…?」
慌てたように身動ぐ朱里を腕の中に閉じ込めたまま、寝台を降りて鏡台の前まで歩いていく。
鏡面を覆う布を取り払って鏡の前に胡座を掻いて座った信長は、自身の膝の上に朱里を座らせる。
裸の細腰に腕を回すと、首筋に顔を埋め、背後からぎゅうっと抱き締めた。
「の、信長さまっ…ぅンッ!んんっ…」
振り向こうとした朱里の顎を掬い、その唇を塞ぐ。
深く唇を重ね、舌先で口唇を割り開くと、口内をゆっくりと舐めていく。
互いの唾液が絡まり合って、くちゅりと湿った水音が零れた。
「んっ…ふ…ぅ…はぁ…」
「くっ…はぁ…あぁ…」
じっくりと与えられる熱っぽい口付けに蕩けされられて、朱里の身体からはクタリと力が抜けてしまう。
その瞬間、信長は口付けたままで朱里の膝裏に手を掛けて、両足をガバッと大きく左右に開かせた。