第99章 新たな出逢い
珍しく反論してくる朱里と激しい言い合いになる。
こんな風に、互いに声を荒げて言い争うことなど、二人にとっては非常に珍しいことだった。
常ならば、諍いになっても信長を気遣って朱里が先に折れることが多いため、これほどの言い合いになることはない。
朱里にとってそれほどまでに謙信たちとの繋がりが大事なのかと思うと、信長の苛立ちは一層激しいものとなる。
(これは嫉妬だ。自分でも分かっている。俺は朱里が謙信たちの前で楽しそうに笑っていたことが気に入らないだけなのだ。たとえやましい気持ちがなかったとしても、朱里が俺の知らぬところで男と会っていたと思うだけで腹立たしい。嫉妬などみっともないと頭では分かっているが…朱里のこととなると、どうにも自制が効かなくなる。全く、厄介なことだ……)
「……信長様は、私を信じては下さらないのですか?私には、誓ってやましいことなどありませんっ!」
「……俺に隠し事をしたことは、やましくはないのか?」
「っ…それは……」
(いかん、これでは話が堂々巡りするばかりだ。俺としたことが…何をやっているのだ)
朱里を傷付けたいわけではないのに、口を開けば責めるような言葉しか出てこない。
「隠すつもりはなかった、とでも言うのか?」
「う、後ろめたい気持ちで黙っていたわけではありません。謙信様たちに初めて出会った時は素性も分からなかったから…信長様に心配かけたくなかったんです」
「素性も分からぬ男に、ホイホイついて行くのか、貴様は?そういうところが無防備過ぎると言っているのだ。貴様の身も心も、全て俺のものだ。それが分からんのなら、身を持って教えてやるっ!」
グイッと荒々しく腕を引いて朱里をその場に立たせると、引き摺るようにして寝所へと足を向ける。
「やっ…痛い…離して…っ…待って、信長様…」
「貴様は俺のものだと何度言えば分かる?口で言っても分からぬのなら、身体に覚えさせるまでだ。俺のものだという証を、分かるまでたっぷり刻み付けてやる」
「っ…やっ、あぁ…」
ーちゅうぅ…じゅっ…じゅうぅ…
首筋に噛み付くように唇を押し付けられて強く吸われる。
薄い皮膚に歯を当てて、カプッと噛み付かれると、痛みと同時に強い悦楽を感じてしまう。
「やっ…あっ、んんっ…痛っ…」
「さあ、仕置きの時間だ。覚悟は出来ているのだろうな?」