第19章 金平糖を奪還せよ
ある日の昼下がり〜
私は自室で、侍女の千代と二人で花を活けていた。
(信長様のお好きな曼珠沙華を城下でたくさん摘んだから、後で天主にも活けに行こう。
喜んでくださるかな…)
信長様のお顔を想像して一人幸せ気分になっていたその時………
スパーンっと勢いよく襖が開かれ、信長様がズカズカと部屋に入ってきた。
「の、信長様??」
突然のことに呆気にとられて、上手く言葉が出てこない。
千代などは腰を抜かさんばかりに驚いてしまって、無礼にも口が空いたまま固まってしまっている。
「俺を匿え」
「は?」(一体、何ごと??)
驚く私を無視して、近くにあった衝立の後ろに身を隠す信長様。
…が、残念ながら背が高すぎて衝立の上からチラッと黒髪がはみ出てしまっている。
(っ、いや、それ、見えてますけど……)
「お、や、か、た、さま〜っ!
お待ち下さいっ!
どこに行かれましたかっ??」
廊下の先から聞き覚えのある声と、バタバタと走る音が聞こえてくる。
(っ、秀吉さん、また廊下走ってる!)
思わず笑いそうになっていると、またもやスパーンっと勢いよく襖が開かれた。