第83章 心とカラダ
朱里の愛らしさに、内心身悶えながらも身体を起こした俺は、寝台の横にある棚から箱を取り出した。
箱の蓋をそっと持ち上げて……中に納められているものを目にした途端、腰がズクっと甘く疼いてしまった。
自分の身体のそんな反応に、驚く。
(っ…張形を見ただけで物欲しげに疼いてしまうとは、我ながら随分といやらしい身体になったものだな)
異国の商人からの献上品である、この『張形』は、水牛の角で作られているという。
男の怒張した一物を忠実に模した、猛々しい作りのソレは、朱里との交わりでも何度か使用したことがある。
男のモノにはない冷たく硬い無機質な質感のソレに貫かれて善がる朱里の痴態を見るたびに、男の支配欲は満たされた。
だが、今は、女として、更なる快感が欲しい。
不思議な感覚だ。
心で考えることは男の思考なのに、身体で感じるのは女の悦楽なのだ。
この張形で女のように滅茶苦茶に貫かれてみたい…と。
「朱里っ…」
「えっ…あっ、はい?」
寝台の上に座り込んだまま、ぼんやりと俺の動きを目で追っていたらしい朱里は、声をかけると、ビクッと身を震わせる。
その頼りなげな様子に愛しさが募り、正面から向き合ってふわりと抱き締める。
腕の中にすっぽりと収まる華奢な身体に、慣れ親しんだ安心感を感じる。
が、それと同時に、お互いの豊かな胸が重なって尖端が擦れてしまい、鎮まりかかっていた情欲が再び熱を持ち始める。
「朱里…」
「っ…えっ、ええっ…あのっ、これ…?」
妖しく黒光りする張形を朱里の手に握らせると、耳元にそっと唇を寄せる。
耳朶を軽く甘噛みしながら、耳奥へ熱い吐息とともに熱っぽく囁いた。
「朱里、これで…俺をイかせてくれ」