第82章 誘惑
手の内で上下に扱くたびに硬度を増していく一物を、時折、きゅっ、きゅっと緩急をつけて握ると、それはまるで、朱里のナカで締めつけられているような心地がして、頭の奥まで痺れるぐらいに気持ちがいい。
『んんっ…イイっ…信長さまぁ…もっと…』
「うっ…あぁ…朱里っ…朱里っ…」
固く目を閉じ、神経を研ぎ澄ませて想像するのは、己の腕の中で善がる朱里の痴態。
いやらしく男を強請る艶っぽい声が頭の中を満たし、想像の中の朱里は、もっと、もっと、と信長を強請る。
それに答えるように、一物を扱く手の動きが速くなり、にちゃにちゃっと粘液が擦れるいやらしい音が静かな部屋の中で響く。
腰を揺らす速度も速くなり、頭の中では、熱く濡れそぼった蜜壺の中を、奥へ奥へと無我夢中で突き挿れていた。
『やっ…あぁっ…だめぇ…イッちゃうぅ…』
「うっ、ぐっ……」
脳天を突き抜けるような甘美な刺激に、閉じた目蓋の裏でチカチカと星が瞬き、その瞬間、ズクリと腰が鈍く疼いて、手の内の一物が大きく震えた。
ードピュッ! ビュルビュルッ!
限界まで張り詰めた一物から、熱い白濁が勢いよく放たれて、べったりと手の平を汚す。
抑えきれなかったものが褥の上に飛び散ってしまい、吐精後の思考が定まらない頭でぼんやりとそれを見る。
「っ…はぁ…はぁ…っうっ…」
褥の上で大の字に寝転び、天井を見つめながら乱れた息を整える。
精を吐き出したばかりの下半身は、いまだ熱を帯びていて熱く滾ったまま天を仰いでいた。
(くっ…一度出してもまだ収まらんとは…朱里を想うだけで、何度でも見境なく滾ってしまう…)
興奮冷めやらぬ身体を鎮めようと、目を閉じて深く息を吸う。
はああぁ…っ、と一気に吐き出せば、頭が少しスッキリしたような気がした。
自慰など、するのは久しぶりだった。
愛しい女の姿を思い浮かべて、己を慰める行為は、快感を得られ、達しはしたものの、終わってみればどこか虚しい。
温かくて柔らかな、あの身体を抱きたい。
この腕に閉じ込めて、淫らに啼かせたい。
熱く濡れた奥へ、己の生命の証を注ぎ込みたい。
朱里、早く貴様に触れたい…この腕に抱き、俺の全てを貴様に与えたい。