第3章 媚薬の力
ピンポーン
…ピンポーン
ほどなくして成瀬が由希のアパートに到着したが、チャイムを押しても出てこない。
一応ドアノブに手をかけるとガチャっと開いた。
…鍵かけねーとか不用心だな。
「由希センパーイ、鍵空いてたから入るよー。」
返事がない。…寝てる、のか?
靴を脱ぎながら声をかけても返事がなかった。
「…センパーイ?」
ガチャっ
声をかけながらリビングのドアを開ける。
「…センパイいるじゃん。どしたの?」
そこには机にうつ伏せになっている由希の姿があった。
「…っあ…な、っる…せぇ…」
…っ?
え、何々、どゆこと。なんでこんな顔真っ赤なの。
何このえろい顔。
「…センパイ、どしたの。」
「っ…か、らだっが…へんっ…なっ…はっぁ…」
吐息混じりの声。
また酒でも飲んだか?
と、テーブルを見ると食べかけのチョコレート。
もしかして、酒入り…?
念のため箱の裏の原材料を確認する。
…特に酒の表記はない、…が注意書きに何か書いてある。
"こちらの商品はリラックス効果を高める為、安全性の高い媚薬を少量使用しております。体への害はありませんが、必ず1日一粒を限度にお召し上がり下さい。"
…。
箱を見てみると6個中5個も食べていた。
いや、食べ過ぎだろ…
…ぐいっ
いきなり由希に腕を引かれる。