第3章 媚薬の力
とりあえず部屋に入り、荷物を片付けた後お風呂に入った。
髪を乾かして、まだ成瀬が来るまで少し時間があるな〜と時計を見上げる。
そういえば…由希は先程貰ったチョコを思い出した。
「リラックス効果があるって言ってたし、お風呂上がりに丁度良いかな…」
紅茶を入れて、クッションに腰かけた。
袋から箱を出し、中を開けてみる。
そこには一つ一つ区切られて個包装された小さめのチョコが入っていた。
たまにはチョコ食べてゆっくりするのもいいな〜なんて考えながら、とりあえず一つ手に取り口に運ぶ。
「…美味しい。」
あまり甘くなくて、食べやすい。
ただ、食べたところで何か効果があるようには感じなかった。
ピコンっ
成瀬から連絡が入った。
[終わったから、今からそっち向かうねー]
…
[わかったよ。気を付けて。]
いつも通り、素っ気ない返信をする由希。
静かな部屋にいると、色んな事が頭に浮かんでくる。
部活や試合、成瀬との……っ
…思い出さなくていい事まで思い出して、一人きりの部屋の中で何故か恥ずかしさを紛らわすように目の前のチョコをパクパクと食べた。