第1章 洋紅色に染まる【一十木音也】
洋紅色の深く鮮やかな赤色の布地が視界に映り、自分で選んだものなのに、なんだかドキドキする。
目の前に、ふわりと広がるこのひとの髪と同じ色。その色を身にまとって、同じ色の髪を抱き込むようにしていると私の視界に映るのは、ふわふわで柔らかな、赤髪。シャワーを浴びたから、少ししんなりしていて、良い匂い。
さら、と指を通してみる。私の髪より短くてすぐに指からすり抜ける。通して梳いてを繰り返していると、擽ったいのか身じろぎをして、ぎゅう、と私の背に回す腕に力がこもった。
「ちょっと、音也……それ以上きつくしたら痛いよ」
「んぅ……香澄ー……」
完全に寝ぼけている。でも、そんな音也が、愛おしくて。こんなにも、自分に甘えてくれる姿が、心から愛おしくて。
可愛い、なんて言ったら、きっとつまらなそうにそっぽを向いて、少し拗ねるんだろうな。そんな姿がまた可愛い……なんて思って笑ったら、ちょっと怒るかな。私にとっては、どんな音也も格好良くて可愛くて、だいすきなんだけど。
よっぽど疲れていたのか、たまに寝言を言うくらいで、起きる気配はない。普段は、私の方が先に寝ちゃうのに。けれど、腕の中で気持ちよさそうに眠る音也の顔を見ていると、こちらまで眠たくなってくる。規則正しい寝息に、まぶたが重たくなって……。