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【爆豪勝己】君のそばで。

第5章 糖度:30%


(クソ!俺、どうしちまったっていうんだよこの前から!!

まるで俺が茅野に負けて照れてるみたいじゃねえか、!)


勝己は、チッ、と軽く音を立てて舌打ちすると、リビングに置いてあった茅野の鞄を持って家を出た。

* * *

『も〜!!勝己!なんで先行っちゃうの!!』


まだクラスが馴染んでいないため、少し静かだった空間に
パタパタと慌しく茅野は入ってきた。


「、、、っ、準備おせえからだろうが!!
髪も化粧も終わってんのに何に時間かかんだよ!」


爆豪の声量にクラスメイトたちはびくびくして下を俯いていた。
それに動じないのは茅野ただ1人。

『そんな遅くないもん!リップの色選んでたからちょーっと時間かかっちゃっただけでしょ!!』

「リップの色だぁ、、?!なんでも(似合うんだから)いいだろが!!」

『なんでもよくない!!
ほんっと勝己はわかってないんだから!!』

「んだと?!」

2人の言い合いがヒートアップし、周りがハラハラとしていると1人の少年が割って入っていった。

「ふ、2人ともそのくらいに」

「あ"?!デクは黙ってろや!」「ひっ、!」


...が、ものすごい怒声が響き、あっけなく小さくなってしまった。
さっきまでの茅野に対する声量が50だとしたら、120くらいだろうか。

そもそも50の声量が普通の人の100くらいだろう。


『ちょっと!!そんな言い方ないでしょって!
出久のことなんだと思ってるの!』

それに怯まない茅野は、さらにぷんぷんと怒り出した。


「あ"ぁ"?!デクは木偶の棒のデクだろうが!!今更なにがあるってんだ!!」


「茅野ちゃんっ、!もういいから」

危険な空気を察してクラスメイトも出久も止めに入ろうとするが、誰一人、幼馴染である出久すらその勢いに押されて止めることが出来なかった。

『もう知らない!勝己なんて!』

そう言い放つと、チャイムが鳴り響いて茅野は席についた。


勝己は悔しそうな顔をして舌打ちをすると、出久と共に遅れて席に着くのだった。

クラスメイト達はただでさえ一目置かれている2人の喧嘩を目の当たりにして、誰一人口を開かなかった。
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