第5章 糖度:30%
勝己のあまりにも静かで間の抜けた声が消えると
一瞬、また二人のあいだに沈黙が流れた。
そして
「…ってめ、泊まりだぁ…!?
んなことするわけねぇだろが!!」
やっといつもの怒声が響いて、茅野は肩をビクッと揺らした。
『…で、ですよね…
流石に、もう迷惑だもんね…』
(ああもう、なにいってんの私!?
ばかばか!!泊まりとか急に!!)
自分を殴りたい気持ちでいっぱいになる茅野。
しかし勝己は、それも否定した。
「ばっ、そんな意味で言ったんじゃねぇわ!!
クソ、そんくらい分かれや」
(今お前が泊まり来たら我慢出来るわけねぇだろ!!
来たらお前が傷付くんだよ、んな悲しそうな面すんなや…!!)
なんて思ってる勝己。
だがツンデレのデレがなかなか出ない彼の本心に茅野は気付かず
頭にはてなを浮かべて
また前を向いて
二人静かに、日の沈む方へ歩き続けた。