第2章 知らないこと
((…ませがき???))
ぽかん、と間抜けに口を開けたまま、
茅野が走って行く背中を見つめた。
言われたこともない言葉。
意味が分かる訳がない。
「ねぇかっちゃん、ませがきってなぁに?」
この年にしては知識があり、いつも
すげぇだろ、と自慢しながら教えてくれる物知りな勝己なら分かるだろう、と緑谷は聞いた。
ぷるぷると震えて拳を握りしめ
「…わ
わすれた!!」
とだけいい、爆豪もまた同じように茅野の家駆け出して行ってしまった。
彼は茅野が知っていて自分が知らない、ということがとてつもなく嫌で
それが緑谷に悟られたくなかったのだ。
緑谷は二人目の背中を同じように呆けた顔で見つめたあと、とぼとぼと自宅へ向かって歩き出した。
(…二人とも、変なの)