第5章 Walk In The Dark
幸いにも明日から夏休みだった。
「夏といえば海!!海といえば夏!!というワケで私、浅野啓吾は明日より10日間の海への合同合宿を提案するものでありまっす!!」
浮かれ気分な浅野に呼び出された先には1組のお馴染みのメンツが座っていた。嬉しそうに予定を話す浅野とは裏腹に他のメンバーは苦笑いをしたり、冷めた目でその様子を見つめている。
「わりィ。俺、用事あるからパスな」
「何ィ!!」
「イヤ……すまん。でもムリなもんはムリだ」
「一護が行かないなら私も」
「綴ちゃん!?」
「ごめん、あたしもちょっと……」
「井上さんまで!?」
有沢や小川、茶渡。ここにいる全員が否と応える。小島に至っては世界中の男子高校生にとって夢のような旅行の予定を告げ、皆に断られた浅野のボロボロなメンタルを木っ端微塵に砕いた。
終業式が終わり、夏休みという自由が与えられた学生達は己の夏休み予定など雑談にひとしきり花を咲かせた後、バラバラと解散していく。