第4章 The Straight Road
「あっ……」
「どうかしたのか?」
「ううん、なんでもない」
「そうか?ならいいけどよ」
夕飯を食べ終えくつろいだ後、そろそろ自分の部屋に戻ろうかとテーブルの上のマグカップを片付けようとした所に大きな霊圧を感じて綴は思わず言葉が漏れた。
とうとうやってきたのだ、この時が。
綴は部屋に戻り、騒ぐ心を落ち着かせ平静を装うために横になって目を閉じた。
霊圧が2つ。1つは全く覚えがないが、もう1つには会ったことある。流石に昔過ぎて誰だかは分からないが知っている霊圧だった。
それにしても、朽木ルキアに対して捕獲に来た係の霊圧が大きすぎない?
浦原や夜一であればこれが誰のものであるのか等分かったのかもしれないが、尸魂界に久しく向かっていない綴にとって現状の把握は難しい。
何年、何十年と時間を掛けてきた手前、まだ表舞台へと出ては行けないと十二分に承知しているのだが近くでここまでの霊圧が動いているとなると体がざわつかずには居られなかった。
バタバタと隣の一護の部屋で物音がするのにゆっくりと目を開けた。
いくら霊圧探知の才能がない一護でもルキアがいない事に気づいたのだろう。
ガチャガチャと慌ただしい音にそれほどルキアが一護の世界に馴染んでいたのだと知り、綴の胸はまた少しジリリと傷んだ。
あと少し、あと少しだから……。
未だ発展途上な強い霊圧が窓から飛び出ていく様子を見つめ、綴は部屋に置いてあった物を手に取って一護の部屋へとノック無しに入っていった。