第3章 たまにはいいかもしれません
じわじわと目頭が熱くなるのを感じる、情けない。鼻がツンとしてくる、唇も震え出す。
こんなの感情がダダ漏れじゃないかと自嘲気味に笑う。
イギリスさんは全てをわかった上で言えと言ってるけれど、私は今こんなにも全身で愛してると叫んでいるのに。こんなに好きだと言っているんだから、少しくらい、抱きしめてくれたっていいでしょうと、ほんの少し前に私から逸らした視線を彼に戻す。
イギリスさんから今の私はどう見えているのだろうか、こんなにコロコロ顔を変えて。
いや、そんなに大きく表情が変わっているわけではない。きっと他の人から見たらなんでもない変化だけれど、アーサーさんは目敏く気付くのだ。それも含めて、情けなくて仕方がない。
私の国も、彼の国も、感情を外に出すのははしたないとされているのに、こんなのを見せてしまってはどうしようもない。
きっとイギリスさんはこんな私ですら愛しいと言うであろうことは私がよくわかっているけれど、お国柄とでも言うべきか、拭いきれない恥ずかしさが尾を引く。
一言キスを求めればいいだけのはずだ、遠回りばかりの自分はなんて阿呆なのだろうか。なんならハグを自分から仕掛けでもすれば、きっとイギリスさんはあの血が透けるような白い肌を、一層血に近しい色に染めてくれる。