第2章 1.
生まれた時からハッキリとした意識・記憶があった私は、3歳になる時には既にこの世界に飽きていた。
というのも、前世の記憶があったから。にほかならない。
前世の私は一般家庭に育ち、元からの持病である癌で20代前半の命を終えた。高校生を過ぎた頃からどことなく冷めていた私は、唯一の趣味読書と共に小説を書き来世の人生設計することが楽しみとなっていた。生まれ変わったら覚えていないとは思いながら。
生まれてみたら、まさかとは思いつつも記憶があった。少しの理性が前世の私の人生設計を止めるよう邪魔をするが、3歳で普通に飽きてしまったので仕方が無い。その通り生きてみようと決意した。
この世界の父と母は2人とも美しく優しく、貼り付けた笑顔と刷り込まれた偽の知識で良い親を演じていた。おかげで見た目でも、私の人生設計の始まりとしても苦労せずに済むのだ。その点は感謝しよう。
さてと、
「気をつけて行ってくるのよ」
「行ってこいよ」
『はーい!パパ、ママ、いってきまーす!』
ガチャ
小学一年となった私の初登校日それが、人生設計遂行初日にして両親の命日となる。