第1章 <気になる奴>
出逢いは、気まぐれで。
珍しく俺は1人で街を歩いていた。この日はそんな気分だったのだ。自分でも驚いたさ。
今夜は肉体関係にある女と一夜を過ごす予定になっている。この様な生活を幾度となく送っていたが、毎晩違う女を抱いては捨ての繰り返しで煩わしくなってきたところだった。何より大抵の女の目当ては俺の財力。金に目がない糞な女共だ。俺に好かれようと媚びを売る奴は五万といる。所詮女は性欲の捌け口だ。自分の日頃の不満やストレスを解放出来るなら、それでいいとさえ思っていた。
_____だが、"あいつ"に出逢うまでは。
「………ア?」
色々と考え事をしていたら、街の外れにある森の中まで来ていた。引き返そうとした時、小さな薬局があることに気付いた。こんな所にこんな場所があったか…?
小屋に近付いてみると"営業中"という看板が出ていた。今の俺は薬なんぞ必要無いので入る理由は無いのだが、入らずにはいられなかった。何かに惹かれる様なそんな感じがした。
『いらっしゃ……い?』
扉を開けて入ると、白衣を着た女が出迎えてくれた。しかし、俺を見るや否や固まる。何でだ、と聞こうとしたがその必要は無かった。