第5章 パーティの夜※
シャワーから上がった私は、ルカさんにポンポンと髪を拭かれながら心地良さに目を閉じていた。
撫でられたり軽く引かれたりと、彼の指先が頭と髪の間を滑る。
「私ルカさんの手、好きです」
「僕はリラちゃんの髪かな。傷まないように気を付けてね」
触れ合った所を褒め合うってなんだか可笑しい。
ルカさんも同じ様に感じたのか軽い笑い声が聞こえる。
ルカさんが髪を上げて首筋に指を這わせた。
括るのかと思ったら違うようだった。
首筋や耳にも触れるか触れないかの強さで。
「……ん」
繰り返しそうされて出た自分の声がどこか甘ったるい。
耳の先を指先で挟まれて、ひくんと肩が揺れた。
急激に自分の感覚が鋭敏になっていくようだった。
そんなぞわぞわする感じと、もどかしく触れてくる感触に狼狽えて腰を浮かそうとする。
そしたら伸ばした腕を私の肩に回し、彼が強い力で私を引き寄せた。
「きゃ……」
反射的に身を庇おうとして竦ませた体がベッドに跳ねる。
それを押さえつけるように私の上になったルカさんがいつかのように熱っぽく私を見下ろした。
「何が足りないのかは分からないけど、僕はきみが欲しいよ」
そんな彼を、私は目を見張って見上げていたと思う。
そのあとルカさんが身を屈め、私の首や胸元の肌を時折音を立てながら何度も緩く啄むように口を付けた。
……その間、一連の流れに咄嗟に反応出来なかったのは、ごく当たり前のようにそうされたからだ。
かなり遅れて恥ずかしさに顔を隠そうと半身を背けると今度は私のうなじに濡れた舌が追う。
その生温い感触に心臓がどくんと鳴る。
「…っや」
「止めない、けど。 嫌?」