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小さな愛【R18】

第5章 パーティの夜※


そういうの? ルカさんは面倒臭がりとは無縁だと思うんだけど。
泣かされる? うーんと考え込んで彼の家でキスをされた時の事が頭に浮かんだ。

「だってルカさん、意地悪なんですもん。しょっちゅうちょっかいかけてきますし」

「へ? ちょっかい?」

「彼、面白がってるんですよ。だって、ほら。あの人に対するみたいに大人として扱われてないんです、私」

女性と穏やかに談笑しているルカさん。
私みたいにタコみたいだなんて絶対言わないんだろうな。

「しょっちゅう…ねえ。 面白いね、リラちゃん」

「面白くないです」

くく、と笑みを漏らすケリーさんを咎めるように見る。
改めて見るとさすが狼、顔も体も野性味溢れた精悍な様子の人だ。
鋭く黒い目に直線的な頬や額。
ルカさんとは別の意味でもてそう。

「リラちゃん? きみ、表情もだけど、その金色がかった瞳。感情でくるくる変わるんだな」

「そうなんですか?」

「凄く綺麗だ。怒ると金色が勝って穏やかな時は緑がかる。嬉しい時とあと、泣いたらどうなるんだろ」

今まで周囲から空気だと思われていた私にいきなり興味を持った人が現れたようで、少し頬が熱くなった。
両膝の上に肘を置いて組んだ手の上に顎を乗せ、ケリーさんはラフな様子で私に語りかけてくる。

「分かりません、けど……」

「ルカは知ってるの?」

「何をですか?」

「俺は見てみたい」

「知ってる」

よく聞き知った声がして見上げると、戻ってきたルカさんが私の方のソファの肘置きに手をついていた。
黄金色の液体の入った細長いグラスを私に差し出している。

「ケリー、悪いけど手を出さないでくれる?この子は僕の大事な人だから」




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