第5章 パーティの夜※
◇◇◇◇◇
そして現在、パーティの広間。
「じゃあここに少し座っといで。飲み物を取ってくるから」
「食べ物はまだなんですか」
それはあとでね、ルカさんはそう言い残し壁際のソファに私を座らせて広間の中央へと歩き出した。
その間にもまた、他の女性や男性に声を掛けられ立ち止まっている。
これまではずっと私の方を向いてくれてたのに。
先ほどの女性の事がちらりと頭を掠めた。
……せっかくルイスさんに着せてもらったけど。
こんなドレスを身に付けていても、何だか私だけがここから浮いてる気がする。
「つまんないな」
疲れた足をブラブラさせつつ、つい愚痴ってしまった。
そんな私の上から降ってきた男性の声。
「そりゃパートナーがあれじゃあねえ」
よいしょ、そう言って私の隣に腰を沈ませた。
この人、さっきのケリーさんっていったかな。灰色の尖った耳。犬族だろうか。
「こんな可愛い子放ったらかしてアイツもどうかしてる。 俺はケリー、ルカの仕事仲間兼友人。狼族だよ。 きみは?」
「リラです。ルカさんと同じ猫族です」
「ふーん……」
ぺこりとお辞儀した私をしげしげと見やるケリーさん。
「珍しいね。ルカがきみみたいの連れて来るって」
「私みたいって、子供っぽいってことですか」
色んな人にすっかり言われ慣れている事を苦々しい表情で口に出すとケリーさんは一瞬驚いたような顔をした後にぷっと吹き出した。
「ははっ……いや。そうなんだけど、そうじゃなくてさ。アイツってそういうの面倒臭がる所あるから。一緒にいて泣かされるんじゃない?」