第5章 パーティの夜※
二、三日ここに滞在して行こう、とルカさんが提案した。
週末に市場が開かれるという話があった町で、明日からはちょうど週末。
ビー君のことがあったばかりだったし、すぐにまた他の家を探すのには抵抗があったので私もそれに同意した。
「せっかくだし、少し気分転換していかない? 丁度今晩近くのレストランでパーティがあるんだけど」
「ここでですか?」
「うん。 僕の商品を取り扱ってくれている所で、仕事関係の人が集まる」
「お仕事、ですか」
「顔見知りが多いよ。 確か美味しい料理もたくさんあったような」
美味しいもの。
私はここに来て、ヒト型になってからまだ食べていないものがいっぱいある。
もしかして、成弥がいつも食べていたお米やこれまた彼がたまにお給料日に食べていたハンバーガー、などというものもあったりするのだろうか。
「はい、行きます!」
そうやって連れていかれたのは食べ物とはおよそ無縁な、何やら高級そうなお店構えの洋服屋さんだった。
「いらっしゃいませ、おや。ルカ様」
お店のドアを押して迎えてくれたのは頭に飾り羽のついた、何かの鳥系の人だろうか。恰幅のよさげなおじさん。
「この子にドレスと……あと何着か、見せて貰っていいかな」
「……こんにちは?」
来た事の無い場所に気後れしつつルカさんの後ろから顔を出して、その人に挨拶をする。目が合った店の人が目尻を下げた。
「こんにちは。これはこれはお可愛らしい。では妻を呼びましょう。おい、ルイス!」
店の奥からルイスと呼ばれた女性がパタパタと足音を立ててやって来ると、私たちに目に止めて異様に瞳を輝かせた。
「ルカ様、と。まーああ、可愛い!!どうしたの? 何このお人形みたいな子!!」
やはり鳥の人らしく、甲高く無駄に響き渡る声に思わず耳を塞いだ。
このおじさんの奥さん?