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小さな愛【R18】

第4章 二人目 チーズ職人ビー




「……………」

「リラ、さん……」


気の遠くなるような孤独から還ってきた私はビー君をかたく抱き締めていた。


「リラさん、ルカさん、ありがとう。 リラさんが優しくてあったかいのは、成弥って人のお陰なんだね」


そんな事ない。
ビー君を抱いているのも忘れて激しく首を横に降った。
緩く背中に回された彼の手があやすみたいに私を撫でている。


「リラさん、成弥さんを助けられるといいね。 僕祈ってる」


ビー君こそ、あんなにたくさん寂しい思いをしたのに。
それなのに私を思いやってくれている彼の言葉に目の奥がつんと痛んだ。


「……ありがとう。 良い子ね」

「ふふ。僕そんなに子供じゃないってば」


ごめんね、私は彼に謝った。
心の中でもう一度。
ごめんね。
今まで気付かなくて。
私ばかりに成弥がいて。


「何で、あやま…あれ。 なんか、僕…眠いや」


彼の声がしりすぼみに耳に届き、背中に当てられていた小さな手から力が抜けていく。
肩にも徐々に重みが掛かる。
まるで気を失ったように、彼が私の肩に頭を乗せてもたれかかった。


「ビー君?」


何度か呼ぶもそれきり動かなくなった。
何があったのかと彼と体を離した。
黙って私たちを見ていたルカさんが傍にきて、目を閉じているビー君の首に指を当て口元に顔を近付け彼を調べた。


「…大丈夫。 眠ってるだけらしい」


彼はほっとした表情でビー君の体を抱き上げソファに静かに寝かせた。
そんなルカさんとビー君を交互に見ながら傍にあった大き目の膝掛けで彼の体を包んだ。
疲れたのかな…?

ルカさんの言う通り、ビー君は程なくすうすうと寝息を立て始めたようだ。


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