第4章 二人目 チーズ職人ビー
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ペットショップで生まれた僕は体が小さくて、おっぱいを飲めずにいつもお腹を空かせていた。
僕の兄弟たちは暖かそうにお母さんの毛皮に潜り込んでいたけど、僕はすぐに兄弟たちに追い出されて一人で震えてた。
お母さんはそんな僕を見るともなく、その後も何度か兄弟を作ると死んでいった。
「こいつは丈夫ですよ。 ケースの中に新聞紙でも適当にちぎって入れとけば生きてますから。 いつもご贔屓にしてもらってるんで、お代は結構ですよ!」
しばらくして、僕はガッコウという所に貰われた。
僕を連れて行ったその大人……眼鏡をかけた人間の女性は元々ウサギを買いに来たそうだけど、いつまでも置いておくと邪魔だからという理由で僕がお店から追い出されたのだった。
「情操教育って言っても……せめてジャンガリアンやドワーフだったら良かったなあ」
彼女はケースの中の僕を眺めながら残念そうに呟き、僕は彼女の機嫌を損ねないように好意的に振舞った。