第2章 リラの旅じたく
三年前。
成弥は私を連れて、それまで住んでいた自分の実家を出てここへ住み始めた。小さな台所とお風呂のついた、一つだけの畳の部屋。
彼は現在ソウコという所で働いている。
そこの親方さんが経営してる職場だ。
本当は、当時まだ13歳だった成弥を働かせるのはいけない事だった。
だけどヨウシエングミという仕組みがあって、彼の働いた分のお金は、月々渡されている生活費以外は親方さんが管理しているとか何とか。
狭くて走り回れない不便さはある。
でも、ここは、前の家みたいに私や成弥を虐めるあの怖い男は居ないし、私たちはちゃんとご飯も食べれている。
私はとても幸せだ。