第4章 二人目 チーズ職人ビー
「ルカさん? 急に何を言」
ビー君はルカさんのその言葉にこくんと頷いた。
「…………?」
「ビー君、『繋ぐ』のは、そればかりじゃ無いらしいよ。来る子も迎える方も手っ取り早くって思うのも無理ないけど、そう単純じゃあない。少なくとも僕はした位じゃそうならないみたいだったし、ビー君もそうなんじゃない?」
「そ、うなの?」
「初対面の相手と寝れたとして、きみみたいな子が相手に自分を委ねられるのかな」
ビー君は少し考えて分からないけど多分、と言いつつふるふる首を振った。
『……だけど僕、まだしたこと無くて。いつも緊張して、うまくいかなくて女の人を怒らせちゃうんだ』
初対面で申し訳なさそうにそう私に言ったビー君を思い出した。
あと。ルカさんと会った時。
彼の言動もそう考えると、何となく思い当たる事がある。
『どうしたの?見たところ充分成熟した女性に見えるけど』
「…………」
つまり私は、はじめ彼らの家を訪問した際それ目的と思われてた、と。
自分の顔が今更ながら火を噴きそうになった。
「そもそもだけど、大体家持ちの方も皆、転生や繋がりを望んでるみたいに思われてる事自体、変なんだよね。他人と深く関わるなんてのも方法は人それぞれなんだろうし、別に気に病むことじゃない。そこの熱出したみたいに倒れそうになってるリラちゃんもね」
ルカさんは私の中に居た時に私たちの会話を聞いていたのだろう。
……ルカさんの所にいる内に、早く言って欲しかった。
それに問題は別のところにありそうだから、ルカさんは続けて言い残りのワインを飲み干し伸びをした。
「今晩は少し飲み過ぎたな。遅くなったし休もうか。明日も早い」