第4章 二人目 チーズ職人ビー
唐突なルカさんの発言。
混乱気味に彼らを交互に見る私。
ビー君に視線を移すと彼は赤い顔をしたまま上目遣いで私を見ている。
「う、うん。 いいの?」
一方そんなルカさんの方は。
何を考えているのか楽しそうに口角を上げたまま、私の体から手を離した。
「……………」
ビー君は相変わらず真っ赤な顔で、大きな椅子に張り付いたようになって動かない。
彼を見ていると、なんだかまた胸がきゅうってする。
愛おしいような、変な気分。
ルカさんと居る時はどきどきするんだけどな。
そしてルカさんに煽られて、という訳じゃないけれど。
もう一度彼を軽く睨んでから、ビー君の元にゆっくりと近付いた。
丸く黒い瞳が私を見詰めている。
私も、触れたい…………
少し屈み、柔らかそうな頬に手を当てて唇を合わせた。
恐る恐るという感じで私に触れる滑らかなそれを、軽く唇で挟むと彼がピクっと動く。
可愛い。
ちゅ、ちゅ、と花の甘い蜜を吸うように音を立てながら彼の柔らかな唇を啄んだり軽く吸ったりして、私はビー君と戯れた。
「ん……リ、ラさ……」
息が少し荒くなったビー君の手が思わず、といった感じで私の胸に触れた。
それがふよん、と形を変え彼の手からこぼれる。
「あ」
「あ、ごめ……っ」
焦った様にビー君が慌てて私から体を離す。
ううん、いいの。と言いつつも、自分で恥ずかしくなり私も俯いた。
妙な空気になってしまった場に頓着しないルカさんの声が耳に届く。
「ビー君、リラちゃんがここに来た目的を知ってるみたいだったけど?」
「……う、うん。僕のところに来る女の人ってそうだから。男の人と一緒に、っていうのは初めてだったけど」
ルカさんの問いに答えたビー君はまだ顔を赤らめて、ちらと私の方を見た。
「リラさんの力になって上げたいんだけど、僕じゃダメみたい」
「上手く交尾出来ないから?」
こ!?