第3章 一人目 案内人ルカ
「ここに来て『ある人』に教わった。きみの役に立つと思うよ。………で、僕もきみと一緒に行っていいかな」
「え?」
言葉の意味が分からず私は聞き返す。
ルカさんは静かに目を閉じ、急速に縮んだかと思うと、元いた場所からふっと消えて見えなくなった。
「る、ルカさん!?」
な、なんだろう? 前の世界でキルス様が現れた時と、逆戻しのバージョンのような感じ。
「ルカさん!!」
私は起き上がって彼の姿を探す。
リラちゃん。
声が聞こえる。
「ルカさん? どこですか?」
きみの中。
うーん、正確には頭の中、かな。
え、え?
私はぶんぶんと頭を振る。
ふふ。そうじゃないけど……
僕は思念で相手の身体に入り込むことが出来る。
記憶や思考を特定の人に体ごと意識を乗っけるって事なんだけど……ただ、繋がりのある相手位じゃないと無理って聞いてたから、やったのは初めて。
「へぁ……」
私は驚きのあまり間抜けな返事を返してしまう。
この姿だときみの邪魔にならないし、それになんていうか、リラちゃんは色々危なっかしいね。僕はここの世界に慣れているからきみを助けてあげられるし、実体の姿だったら、物理的にも少しは守ってあげられられると思う。
「で、でも……」
きみは成弥を助けたいんでしょう?
リラちゃんが生きて帰らないと彼が死んでしまうよ。
「…………」
それとも、リラちゃんは僕じゃ嫌かな?
なぜか私の顔がかあ、と熱くなった。
「そ、そんなことないです! ルカさんはとても色々知ってますし素敵な人です……ただ………」
ん?
「どうしてですか? 私なんかのために」
…………………
少しの沈黙があったので、私は彼の言葉を待った。
「……わっ?」
と思うと、私の傍らにいきなり再びルカさんの姿が現れる。
これ、少し心臓に悪いかも。
「リラちゃんがかわいいから?」
「へ?」
「ふ、冗談。 いや嘘じゃ無いけど、他にもいくつか理由があるね」