第3章 一人目 案内人ルカ
「誤解しないで欲しいんだけど、リラちゃんに対してそんな悪感情を持っている訳じゃない。僕の所に来る子って、人間になって、自分の寿命を延ばしたいとか良い暮らしをしたいって理由の子が殆どだったし」
『他にも私のような方が来るのですか?』
『たまにね。いい暇潰しにはなる』
以前ルカさんとそんな会話をしたことを思い出した。
私は淡々と話す彼に訊いた。
「恨んでるんですか?」
何を、とは言わなかった。
「……よく分からないな。もう昔の事過ぎて」
ふいに知佳の事を思い出した。
……ルカさんも、それで自分を嫌いになったりしたんだろうか?
分からないけど、今の彼は凪のように穏やかだ。
何も言わなくてもその片鱗を感じ取る事が出来た。
私の今のこれが、キマリ様の話す『繋ぐ』という事だろうか。
「きみはあと四人と関わらなきゃならない。 きっと辛い過去を視るし、他のやつがどんなのか分からない。 昔の僕みたいのかもしれない。それでも行くのなら、覚悟しなきゃならないよ」
あと、四人?
人数とか、細かい話は私はまだ彼にしていない。
ルカさんはそれも私の記憶から視たのだろうか。
そして確かに……自分の事よりも私を気遣ってくれている様子のルカさんが何かを恨んでいるようには思えなかった。
「……いえ、大丈夫です、私行きます」
それでも少なくもあと四人。
怖いけど、それでも頑張ると決めたから。
そうはっきりと口に出したあと、ルカさんから先ほどからの若干硬い表情が消えて、いつもの柔らかな笑みが戻った。
「そっか」
「……ルカさん?」
「きみはなぜ僕がここの世界の関係やなんかを色々知ってると思う?」
「………」
それは最初にもそう思った。
でも、その時訊いたら、ここに長く住んでいるから、とだけ彼は言っていた。