第7章 リラの療養※
「以前きみに少し試したけど、酷く疲れて。相手の機敏を感じ取る程度。今はそうでも無いから、多分より深い繋がりが要るって事なのかなあ。 ……それこそさっきのきみみたいに、自ら僕を欲しがって強請る位に」
だから本当にきみが無理な時は分かるよ、そう言われて私の顔が熱くなった。
個人的にはそれだけでってのなら癪なんだけど心はね、少し分かりにくい所があるから。とルカさんが微妙な表情で続ける。
「どういう形であれ、もし前にそうなってたら僕はもっと早くにきみを助けに行けたかもしれない。でも、あの状況じゃ視るのが精一杯で……ごめんね」
お兄ちゃんの件を言っているらしい。
そんな彼の、沈んだ表情を見て思う。
この人が私に対する態度のそれは、昔のお兄ちゃんやどこか成弥にも少しだけ似ている。
だから私は唯一甘えて擦り寄って。
「その辺の話もやつに会ったら聞いてみるつもり」
「えっと、こないだ話していた『あの人』の事ですか?」
「そうだよ」
こんな事でも無けりゃそんなに会いたくはないんだけどねえ、そんなよく分からない事を口にする。
「でも結局私、ルカさんに助けて貰いました。 あの時、私の方がルカさんを突き放したのに……ありがとうございます」
「ああ、それもね。 ついでに仕返しで、さっきはつい苛めたくなったのは否定しないけど」
「あ、や、やっぱりそうなんですか? もう!!」
「そう怒らないで。 きみの気持ちを優先させるべきとはいえ、帰ってなんて言われて僕も中々寂しかったんだよね」
そう言われると、私は黙ってしまう。
確かに私の一方的な気持ちで、あの時はそうしてしまった。
そしてこの人は、お兄ちゃんや成弥よりも強くて大人だ。
呑まれそうな時がある、そうは言っても私みたいに感情を持て余して困ったりしないのだろう。
だから私は拗ねても許してくれると、甘え過ぎてしまうのだと。
……だけどこんなの、言い訳なんかにはならないから。
彼がどうして欲しいのかを考えられる自分になりたいと思う。