第7章 リラの療養※
私の腰を支えながら、潜り込んだ優しく指先が私の内側に触れる。
「こっちは……辛くない?」
ルカさんはそうして私がもう傷付いていないかを確認しているようだった。
それは分かるし痛みももう無く、だけども別の意味で辛い。
「…………っんん」
「嫌じゃない?」
内部を擦られ、時々当たる箇所が溶けそうで痺れて、私はただ与えられる熱に耐えながらふるふると首を横に振る。
少し曲げられた指の関節が私の気持ち良く感じる所に当たる。
「る、かさんこそ、嫌じゃないん…ですか?」
「ん? 僕が?」
「だって私、お兄ちゃ…と」
ルカさんが動きを止め、目を逸らしている私をじっと見詰めてきた。
「…女性の辛さは僕には分からない」
「………?」
彼の言わんとしてる事が測りかねて首を傾げた。
でも、さっきのは許してはあげるけど。と、先ほどの、非を詫びた私にルカさんがそう言った。
いつものように彼は笑んではいなくて、冷めてはいても薄らと熱を帯びたような瞳に、訳もわからずとくんと私の胸が鳴る。
「じゃあの、ルカさん、は私になにか……して欲しいこと、はありますか?」
私が出来る事など多分たかが知れてる。
それでも、この人に応えたい。そんな思いで訊いてみる。
それを返した彼の反応は意外なもので。
「野暮だね。しながら言うよ、朝まで色々」
上目遣いで私を見詰めてそう言ったのち、口許だけで可笑しそうに微笑んで見せたのだった。
「え……そん、んっん!」
どういう意味、そう聞こうとする言葉を唇で塞がれた。
後頭部と頬を引き寄せられて、いきなりの激しい口付けに固く目を閉じた。
食まれて強引に差し込まれる舌に、時折息継ぎを許され、ふ、ふっと空気を求めてルカさんの肩に指を食い込ませる。
いつもの優しいキスじゃなかった。
悲しい訳でも無いのに、再びじわっと目に涙が溜まってしまう。
耳を噛まれて、熱くなる。
「じゃなきゃ許さないから」
そんな言動とは違う彼の優しさが滲んだ声。
その後私は、自分が受け入れてしまった約束を取り消したくなった。